高校生部門 優秀賞

「忘れてはいけない」

福島県立福島明成高等学校 3年 佐藤 陽和

あまりにも急な出来事、ただただ普通の生活を送りたかったであろう。私には考えられないような苦しみ、怒り、悲しみが沢山あったに違いありません。今でも「お母さん」と叫ぶ声、両親がめぐみさんを思う気持ちが強く印象に残っています。もしも、家族と離れ離れになったら、大切な人と会えなくなったら、私は本当にその世界に生きる意味なんてあるのでしょうか。考えるだけでも頭が痛くなり、胸が苦しくなります。

私たちには必ず誰にでも一人は大切な人がいます。今はまだ気づかない人もいるかも知れませんが、心を支えてくれている人がいるはずです。どんな理由があろうとも、その人を無理やり奪う行為は決して許されるものではありません。それは、全世界どんな人でも同じだと思います。

私は自分なりに何ができるかを考えるようになりました。高校生として授業で取り上げられるまでは、「北朝鮮の拉致問題」は漠然とした響きしか頭にはありませんでしたが、この事件が起きた原因や朝鮮半島の二つの国と日本との関わりを詳しく知り、「めぐみ」というアニメを見ることで、高校生になったからこそ理解できた部分が沢山ありました。私のように、横田めぐみさんの名前は聞いたことはあるが、拉致事件についてよく知らないという若者は時代と共に増えてきているのではないのでしょうか。実際に、私の両親は拉致事件をよく知っていましたが、一歳年下の妹と七歳下の妹の二人は、あまり知らないと言っていました。このことから私は、幼い子供たちでも分かるように拉致問題をわかりやすくまとめて、様々な高校生としての活動の場面で広めていくことが大切なのではないかと思いました。

そのためにはまず、私たち高校生がしっかりと理解し、「めぐみ」のビデオを通して多くの人と繋がり、一人でも多くの人に知ってもらえるように活動していきたいと思います。インターネットで調べてみると署名活動の他に、ブルーリボン運動があるということを知りました。今私は自分の高校の生徒会の一員として、福島の高校生として東日本大震災の風評被害払拭のために「シトラスリボン運動」を実施しています。他校との交流がある際には必ず胸に付けて参加すると他校生からは、「そのリボンかわいいね。何のリボン?」とよく聞かれます。意味を説明すると、みんな自分の高校でもやってみたいとその趣旨を賛同してくれます。私はシトラスリボン運動に加えブルーリボン運動に取り組み、近隣の小学校、中学校、そして高等学校にも広げ、北朝鮮の拉致事件について知ってもらうきっかけとし、様々な多くの人たちの繋がりが大きな力となって北朝鮮に届くことを願っています。