高校生部門 優秀賞

関心をもつことが第一歩

神奈川県立厚木東高等学校 1年 中川 茜莉

拉致問題って何なんだろう。度々ニュースで取り上げられる拉致問題について。私は深く考えることなく聞き流してしまっていた。私が生まれる前に起こった事件なために身近に思うことは出来なかったのだ。他人事、アニメ「めぐみ」を見るまではそう思っていた。

アニメ「めぐみ」を視聴した時、もし自分がと考えると恐ろしさと苦しさで胸が締め付けられるような思いになった。四十五年前、横田めぐみさんは十三歳という若さで北朝鮮に拉致された。青春真っ盛りのときに自由を奪われ、家族から引き裂かれたのである。アニメのシーンにあった船内に響くお父さんとお母さんを呼ぶめぐみさんの声が印象に残っている。それはフィクションだと思いたいほど辛い現実だった。いきなり大好きな人達のそばから離され、知らない人に知らない場所へ連れてかれる、怖くて怖くて仕方がなかったと思う。そしてなによりめぐみさんを奪われたご家族がどれだけ苦しい思いをしてきたのかが分かり、自分の無知さに気づいた。突然にして最愛の娘が姿を消した。考えたくない、信じたくない現実だったと思う。その当時、めぐみさんに何が起こっているのか分からない状況も辛かったであろうし、拉致されているかもという情報がもたらされた時は信じ難く、助けに行くことは出来ないやるせない気持ちだったと思う。娘が戻ってくるのなら何でもする、そういう思いだったと考える。

マンガ「母が拉致された時僕はまだ一歳だった」を読んで、被害者家族は「めぐみ」とまた違った思いがあると感じた。めぐみさんと同じく拉致された被害者だが、事件に関わった人物を教育していた。大人になって自分の母親が拉致されたという事実を知り、複雑な思いだったと思う。めぐみさんのご家族は世間に呼びかけていたが、母が拉致されてしまった耕一郎さんは簡単に公の場に出られなかったことは悔しかったのではないかと思った。

これらのアニメやマンガを見た後、なぜ、未だに拉致問題が解決しないのか?という疑問が浮かんだ。それほど北朝鮮という国との交渉が難しいのだろうか。

私は、拉致問題解決は自分たちから遠いところにある気がして正直何をすれば良いのか分からない。だが、まずは拉致問題について知ることから始めるのが重要だと考える。拉致問題への一人一人の関心こそが何かに繋がるのではないだろうか。そして、被害者家族が高齢化していく中でこの拉致問題が薄れていかないように、この事実を忘れず後世にも伝えていくべきである。